ジャパンディの家を佐世保で|家具より先に決めること
ジャパンディは、北欧の軽さと和の静けさを混ぜたスタイルです。Japan と Scandinavia を合わせた言葉で、ここ数年で一気に広まりました。
紹介している記事の多くは、家具と色と小物の話で終わります。低い家具を選ぶ、アースカラーでまとめる、和の小物を三割ほど混ぜる。間違ってはいません。
ただ、実際に建ててみると、この空気感をつくっているのは家具ではありません。窓の高さ、軒の出、床の段差、造作の木格子。どれも引き渡し後には動かせない部分です。家具はあとから買い替えられますが、こちらは着工前にしか決められません。
創業34年、在来木造で建ててきた工務店の立場から、家具を選ぶ前に決めておくことを書きます。
低重心は、家具だけでなく窓の高さで決まる
ジャパンディの特徴としてよく挙がるのが「低重心」です。目線が低く、水平のラインが強い。落ち着いて見えるのはそのためです。
低い家具を置けばある程度は近づきます。ただ、家具を低くしても窓が高い位置にあると、視線がそこで上に引っ張られます。座ったときに窓の下端が目線より上にあると、庭や地面とのつながりが見えにくく、壁の高い位置に明るい四角が浮く見え方になります。天井の高さ、開口の横長の比率、床に座るか椅子に座るかでも変わりますが、窓の下端は効き方が大きいわりに見落とされやすい部分です。
効くのは窓の下端をどこに置くかです。床に座る、あるいは低いソファに座る前提なら、窓の下端をそれに合わせて下げます。掃き出し窓にして床から立ち上げないという選択もあります。窓の位置は構造とサッシの発注に直結するので、図面が固まったあとでは動かせません。
畳コーナーを一段上げるのも低重心の作り方です。座る場所の高さが変わると、部屋全体の目線が下がります。半畳の畳を数枚だけ入れる形なら、和室を一部屋作るより軽く収まります。
陰影は、軒と建具でつくる
ジャパンディの写真を見ると、光がやわらかく回っています。直射がそのまま入っている写真はほとんどありません。
これは照明ではなく、光を一度やわらげてから入れているからです。方法は2つあります。
軒を出す。 南に向いた窓なら、深い軒で夏の高い日射を切り、冬の低い日射を入れられます。太陽の高さが季節で変わるからです。ただしこれは主に南面の話で、朝日と西日は低い角度から差すため、軒の出だけでは切りきれません。東西面は窓の大きさや位置、外側での日除けと合わせて考えます。どれだけ軒を出すかは方位と窓の高さ、敷地の条件で決まる設計判断です。在来木造は軒を出しやすい作りで、ここは大成住宅が34年やってきた領域と重なります。
建具で拡散させる。 障子や和紙調のスクリーンを一枚入れると、光が面で広がります。カーテンと違って畳んで溜まらないので、窓まわりがすっきりしたまま残ります。
木格子は働きが違います。光を拡散させるのではなく、視線を切りながら、細い影を規則的に落とす要素です。拡散をねらうなら障子や和紙調のスクリーン、影の表情をねらうなら格子、と使い分けます。
どちらも後付けが難しい部分です。軒は屋根を作り直す話になりますし、障子や格子は開口の寸法と下地が合っていないと入りません。建てるときに仕込むかどうかで、10年後の見え方が変わります。
夜の見え方も同じです。天井のダウンライトだけで部屋全体を均一な明るさにする計画だと、真上から一様に照らされて陰影が出にくくなります。ジャパンディの写真が落ち着いて見えるのは、光源が低い位置にあって、壁や天井を照らしているからです。
やり方としては、ダウンライトの数を減らし、壁を照らす間接照明やペンダント、フロアランプに振ります。ここで効いてくるのが電気配線の位置です。ペンダントを吊る場所、間接照明の下地、床に置くランプ用のコンセント。どれも壁を閉じる前に決めます。電気の打ち合わせは着工後の慌ただしい時期に来ることが多いのですが、照明計画は本来、間取りと同じタイミングで考えるものです。
色温度も揃えます。同じ部屋に白い光と電球色が混ざると、それだけで落ち着かなくなります。
庭とのつながりを、床の高さで作る
和の静けさを支えているのが、外との距離感です。ジャパンディの空間は、たいてい外に向かって開いています。
ここで効くのが室内の床と外の高さの関係です。掃き出し窓の外にウッドデッキや土間を作り、室内の床とほぼ同じ高さで揃えると、床が外まで続いて見えます。目線が水平に伸びるので、部屋が実際より広く感じられます。
段差を残す作り方もあります。縁側のように腰かけられる高さにしておくと、座る場所が増えます。どちらが合うかは、外に何を置くかで変わります。
囲まれた庭と組み合わせると、視線を気にせず開けられます。中庭の作り方は中庭のある家・コートハウスを佐世保でに、平屋で中庭を囲む場合は中庭のある平屋にまとめています。
素材は、木・グレージュ・和紙が軸になる
具体的な組み合わせも書いておきます。大成住宅のセミオーダー住宅「階 -KIZAHASHI-」でも、近い方向性を 和 -NAGOMI- というテイストとして整理しています。
部位 | 選び方 |
|---|---|
床 | オーク・杉・ヒノキ。樹種そのものより、色味と木目を揃えることが効きます |
壁 | グレージュ、和紙調のクロス。白すぎない色で光をやわらげる |
アクセント | 木格子。和の気配をつくる要素として少量入れる |
畳 | 半畳サイズ。低重心をつくる。い草色は和室寄りに振れるので、グレーやベージュ、くすんだ緑も候補 |
石目 | グレージュ系。玄関やTV背面に入れると和モダン寄りに振れる |
色数を絞るのがこのスタイルの前提です。木の色、壁の色、差し色の3つでほぼ足ります。増やすほど、狙っている静けさから離れます。
白を増やして明るい木を使えば、やわらかいジャパンディに寄ります。グレーや石目を足すと和モダン・旅館モダンの方向へ動きます。同じ素材の組み合わせでも、比率を変えるだけで行き先が変わります。狙っている方向を言葉で詰めるより、写真を見せていただくほうが早く合わせられます。
余白は、収納の量で決まる
ここは弱点として先に知っておいてください。ジャパンディは、物が出ていないことで成立するスタイルです。
床置きが増えた瞬間に崩れます。低い家具を選んでいるぶん、収納量は普通の間取りより減りがちです。そこで物があふれると、狙っていた余白が消えて、ただ物が多い部屋になります。
対策は設計側にしかありません。今持っている物の量を先に出して、それが収まる収納を確保してから、家具を減らす。順番が逆になると、引っ越した直後にカラーボックスが並びます。この話は平屋の間取りで後悔しないための考え方にも通じます。
よくあるご質問
Q. 和モダンとジャパンディは何が違いますか。
色の使い方がいちばん分かりやすい違いです。傾向として、和モダンは藍色やえんじ色など日本の伝統色を効かせ、ジャパンディはアイボリーやグレージュなど彩度を落とした色でまとめます。とはいえ和モダンでも白・グレー・黒でまとめることはありますし、ジャパンディでも黒や濃い木部をアクセントに使います。骨格は近いので、後から色を足して和モダン寄りに振ることもできます。
Q. 平屋でもできますか。
相性はいいほうです。平屋は天井の高さを自由に取りやすく、庭との距離も近くなります。低重心と外とのつながりという、このスタイルの要になる部分を作りやすい形です。平屋そのものの考え方は平屋のメリット・デメリットをご覧ください。
Q. リフォームでもできますか。
内装の色と建具の入れ替えなら対応できます。壁を和紙調のクロスに替える、建具の枠を色味の落ち着いた木に替える、木格子を造作で足す。ここまでは既存の家でも動かせます。難しいのは軒の出と窓の位置です。窓を動かすと、耐力壁の配置、外壁のやり替え、防水と断熱の作り直し、サッシの交換まで連鎖します。軒は屋根に手を入れる話になります。既存の家で検討される場合は、どこまでやるかを現地で見て判断します。
まとめ
ジャパンディは、家具と小物だけでも雰囲気は作れます。ただ、写真で見て惹かれた空気感の大半は、引き渡し前に決まっている部分が作っています。
家具を選ぶ前に決めておくのは、この3つです。
- 窓の下端をどこに置くか(低重心は家具だけでなく、窓の下端が効く)
- 光をどうやわらげるか(南は軒、東西は外側の日除け。拡散は障子や和紙調の建具、影の表情は木格子。どれも後付けは効きにくい)
- 今ある物が収まる収納量(余白は収納の量で決まる)
大成住宅は在来木造で34年やってきたので、軒・造作・建具は相談の多い領域です。営業担当を通さず、建築士・施工管理技士が直接お話を伺います。
気に入った写真があれば、それをお持ちください。どこが構造で決まっていて、どこが後から変えられるかを、その場でお伝えできます。
