中古を買って直すとき、お金は誰に払うのか
中古住宅を買ってリフォームする計画では、契約書と見積書が何通も出てきます。物件の代金、仲介手数料、工事費、登記や税金。どれも「家を手に入れるための費用」ですが、払う相手が別々です。相手が違うということは、金額を出せる人も違います。中古+リフォームの計画が途中で止まるのは、たいていここが理由です。佐世保・佐々で不動産の仲介と施工の両方を扱っている立場から、お金の流れと、どこで詰まるかを整理します。
お金は4つに分かれて、別々の相手に渡ります
① 物件の代金(売主へ)
手付金を売買契約のときに、残りを引渡しの日に払います。手付金は代金の一部で、上乗せの費用ではありません。
② 仲介手数料(仲介した不動産会社へ)
成約したときにかかります。宅地建物取引業法にもとづく上限が決まっています。基準になるのは、消費税を除いた売買代金です。その売買代金が400万円を超えるなら、上限(税込)は「売買代金×3.3%+6.6万円」で計算できます(出典:国土交通省 不動産取引に関するお知らせ、国土交通省告示第1552号)。売主から直接買う場合は仲介が入らないので、この費用は出ません。不動産会社が買い取って直して売っている物件(買取再販)や、その会社が造成した分譲地は、会社が売主なのでこの形になります。逆に、売主と買主それぞれに別の会社が付く場合もあります。誰が売主で、間に何社入るのかを先に確かめておくと、金額の見当が付きます。
③ 工事費(施工した会社へ)
リフォーム工事の代金です。契約時・着工時・完成時などに分けて払うのが一般的です。工事の契約は売買契約とは別に結ぶもので、建設業法により、工事の内容・請負代金の額・支払いの時期と方法などを書いた書面を取り交わします。口頭で「だいたいこのくらい」のまま着工しない、という意味でもあります。
④ 諸費用(それぞれの相手へ)
登録免許税と不動産取得税は国と県、登記の手続きの報酬は司法書士、印紙税は国、火災保険料は保険会社、ローンの事務手数料と保証料は金融機関。固定資産税の精算金は、引渡し日で日割りして売主へ渡すのが一般的です。金額は物件の評価額・借入額・建物の構造で動くので、割合で言い切れるものではありません。中古住宅では、これに建物の状態を調べる費用や、住宅ローン控除など税の特例を使うために証明書を取る費用が加わることがあります。どれが要るかは物件の築年と使う制度で変わるので、項目を並べて一つずつ確かめる進め方になります。
ここで押さえておきたいのは、②の仲介を業として行うには宅地建物取引業の免許が要り、③のうち一定の規模を超える工事を請け負うには建設業の許可が要るという点です。免許と許可は別のもので、両方を持っている会社もあれば、片方だけの会社もあります。①の物件代金は売主に渡るお金なので、売主が個人でも会社でも、そこは変わりません。
段取りしないまま進むと、総額が最後に出ます
仲介だけを扱う会社は、②までの金額は出せますが、③は自社では出せません。工事の金額は、建物の中を見て、どこまで直すかを決めてからでないと出ないからです。
会社が分かれていると、工事費を見てもらうタイミングが引渡しの後になりがちです。物件の話をしている相手は工事の金額を出せず、工事の金額を出せる相手はまだ登場していないからです。何も段取りしないまま進むと、総額が見えるのは売買契約のあとになります。予算を超えていたと分かるのも、そのときです。分業でも、買付を入れる前に工事の相談先を決めておけば避けられます。
引渡しより前に工事の見積りを取ろうとすると、今度は別の段取りが要ります。建物の中に入って測るには、まだ他人の家なので売主の承諾が要ります。会社が分かれていると、この承諾と日程を合わせるところから始まります。
資金の組み方にも効いてきます。物件の購入資金と工事費を1本の住宅ローンにまとめる取り扱いを使うなら、審査の段階で工事の見積書が要ります。つまり契約より前に工事の見積りが出ていないと、まとめる選択肢そのものが消えます。ローンにまとめる場合の条件と支払いの時期はリフォームローンは別で借りる?中古リノベ資金の組み方で整理しています。
段取りが要るのは引渡しの前だけではありません。不具合が出たときに、それが売買の話(契約不適合責任)なのか工事の話(施工の不備)なのかで、言う相手が変わります。会社が2つあると、その切り分けを買った側が判断することになります。総額だけでなく、引渡しの後に誰へ言うのかも、先に決めておく話です。
1社で受けても、変わらないもの
先に、変わらないほうを書きます。
仲介手数料は、頼む先を変えても下がりません。上限は法律にもとづいて決まっていて、どの会社もその範囲で請求します。「不動産と工事を1社にまとめたから手数料が安くなる」ということはありません。
工事費も同じです。材料費も職人の手間賃も、工事の内容と市場の単価で決まります。1社にまとめたから工事費が下がる、というものではありません。
変わるのは金額の水準ではなく、金額が出てくる順番と、総額で判断できるかどうかです。
- 内覧の段階で施工側が一緒に建物を見られるので、物件を決める前に工事の概算が出る
- 概算があるので、審査に要る見積書を契約の前に間に合わせられる
- 物件の条件(築年・構造・接道・再建築の可否)と、工事でできることを、同じ場で突き合わせられる
- 窓口が1つなので、売買の話と工事の話を分けて説明されない
「安いかどうか」の前に、そもそも総額がいくらなのかを、判断できるタイミングで知れるかどうか。中古を買って直す計画で効くのは、こちらです。
1社にまとめる場合の注意も書いておきます。物件と工事が同じ見積りの中に入ると、どちらにいくらかかっているのかが見えにくくなります。物件の代金・仲介手数料・工事費・諸費用は、まとめて相談していても書面としては別々に出るものです。1枚にまとまった総額だけを見せられたら、内訳を分けて出してもらってください。
頼む前に確かめる3つ
1. 免許と許可の両方を持っているか。
会社概要に番号が出ているかを見てください。宅地建物取引業の免許は「◯◯県知事(回次)第◯◯◯◯号」の形で、かっこの中は最初の免許を(1)として更新のたびに進む数字です。建設業の許可は「◯◯県知事許可(般-◯)第◯◯◯◯号」で、ハイフンの後は更新回数ではなく、許可を受けた年度を指します。当社の場合、宅地建物取引業免許が長崎県知事(8)第2661号、建設業許可が長崎県知事許可(般-7)第8058号です。
なお、金額の小さい工事(軽微な建設工事)は建設業の許可が無くても請け負えます。ただし軽微といえるのは、工事1件の請負代金が500万円(建築一式工事なら1,500万円)に満たない場合です(出典:建設業法施行令 第1条の2)。中古住宅で水回りと内装まで触ると、この線は普通に超えます。仲介と工事を1つの窓口で受けてもらうつもりなら、両方の番号が会社概要に出ているかを見るのが早いです。
2. 物件を決める前に、工事の概算を出せるか。
「買ってから見積ります」という進め方だと、総額は契約の後にしか出ません。内覧に同行できるか、その場でおおよその幅を言えるかを聞いてみてください。
3. 見積書の内訳が項目ごとに分かれているか。
「リフォーム工事一式」の1行だと、どこにいくらかかっているのか比べられません。解体・下地・設備・仕上げ・諸経費が分かれていれば、削るところを相談できます。
建物の状態そのものをどこまで調べるかはホームインスペクションは受けるべきか|中古住宅、内覧で自分の目で見るところは中古住宅を買う前の注意点|内覧で自分が見るところにまとめています。
よくあるご質問
Q. 仲介手数料は値引きしてもらえますか
上限が決まっているだけで、下限の定めはありません。ただし、下げる前提で話を始めると、広告や現地案内にかける手間の話に跳ね返ります。金額の交渉より、媒介契約を結ぶときに何をしてもらえるのかを確かめるほうが実になります。なお、消費税を除いた売買代金が800万円以下の宅地・建物には「低廉な空家等」の特例があり、媒介にかかる費用を勘案したうえで、原則の上限を超えて税込33万円まで受け取れる扱いになっています(出典:国土交通省告示第1552号)。売主側だけでなく買主側から受け取る報酬にも適用されるので、安くなる制度ではなく、売買代金によっては原則より上がる制度です。
Q. 物件の紹介だけ受けて、工事は別の会社に頼めますか
できます。仲介と工事は別の契約なので、分けて頼んで構いません。総額で判断したい場合だけ、工事の概算を出す会社を先に決めておくほうが、順番として早くなります。
Q. 工事費はいつ払いますか
契約時・着工時・完成時などに分けて、施工した会社へ直接払います。物件の代金のように、引渡しの日に一度で終わるものではありません。回数と時期は工事の規模で変わり、請負契約の書面に支払いの時期と方法が書かれるので、判を押す前にそこを見てください。ローンの実行が引渡しの日だと、着工時の支払いとの間に差が出ます。その埋め方はリフォームローンは別で借りる?中古リノベ資金の組み方に書いています。
まとめ
- 中古を買って直すお金は、物件代金・仲介手数料・工事費・諸費用の4つに分かれ、払う相手がそれぞれ違う
- 仲介を業として行うには宅地建物取引業の免許、一定の規模を超える工事には建設業の許可。免許と許可は別
- 分かれて頼んで段取りをしないと、総額が出るのは売買契約の後になる。住宅ローンにまとめる選択肢も、そこで消えることがある
- 1社にまとめても仲介手数料は下がらない。変わるのは金額が出てくる順番と、総額で判断できるかどうか
- 頼む前に見るのは、免許と許可の番号・物件を決める前に概算を出せるか・見積書の内訳が分かれているか
大成住宅は佐々町と佐世保市で、中古住宅の仲介とリフォームの両方を扱っています。物件を見に行く段階から、物件価格・諸費用・工事の概算を並べて出せます。買付を入れる前に総額で判断したい方はご相談ください。
