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大成住宅
コラム

手すりの取り付け費用|位置・高さと下地

手すりは、ホームセンターでも通販でも買えます。工事も、木下地に当たれば半日で終わることがあります。ただ、取り付けたあとに「使いにくい」「すぐ外れた」という相談を受けるのは、たいてい位置か下地のどちらかで無理をしたときです。どこに、どの高さで付けるか。壁の中に何があるか。この2つを外すと、手すりは支えにならず、かえって危ないものになります。佐世保市・佐々町で改修を請け負ってきた立場から、位置・高さ・下地の決め方と、段差解消の考え方をまとめます。

場所ごとの手すりの考え方

手すりの形は大きく3種類です。縦手すりは、立ち座りや姿勢を保つときに体重を預けます。横手すりは、歩きながら手を滑らせて伝い歩きするときに使います。L字型は、便器のように「座る動作」と「立って向きを変える動作」が続く場所で、縦と横を組み合わせたものです。

どこに何を付けるかは、使う人がその場所で何をするかで決まります。玄関なら靴を脱ぐために腰を落とす動作、廊下なら歩く動作、階段なら昇り降り、トイレなら座って立つ動作、浴室ならまたぐ動作と洗い場での立ち座り。同じ手すりでも、動作が違えば向きも高さも変わります。カタログで見た手すりをそのまま注文する前に、そこで何をするかを一度書き出すと、必要な形が見えてきます。

高さの目安として広く参照されているのが、国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年国交省告示第1301号)です※1。この指針で手すりの高さに数値が出てくるのは、階段と共同住宅の共用廊下だけ。階段は踏面の先端から700mmから900mm、共用廊下は床面から700mmから900mmで、起点が違います。

戸建ての住戸内の廊下や、トイレ・浴室・玄関については、「立ち座りのためのものを設ける」「上がりかまち部の昇降のためのものを設置できるようにする」といった書き方にとどまり、高さの数値は示されていません。数値が無いから決められないのではなく、使う人の体格と動作で決める部分だからです。根拠のない標準寸法を当てはめるより、現地で動いてもらって決めます。

※1 国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年国土交通省告示第1301号)

玄関(上がり框)

上がり框は段差と手すりが同時に関わる場所です。縦手すりを框の脇に立てて、靴の着脱と昇降の両方を支えます。式台(上がり框の手前に置く踏み台)を併用すると、段差そのものを2段に分けられ、手すりの負担も減ります。框の段差は、指針の推奨レベルで110mm以下、接地階にある玄関は180mm以下が目安です。奥行き300mm以上・幅600mm以上の踏み段を1段設ける場合は框全体で360mm以下までとされていますが、そのときも土間と踏み段、踏み段と框のそれぞれの段差は110mm以下(接地階は180mm以下)です※1。

廊下

歩行中に手を滑らせる横手すりです。指針が高さの数値を定めているのは階段(700〜900mm)と共同住宅の共用廊下(同じく700〜900mm)で、戸建ての廊下自体には数値の定めがありません。現場では、階段と同じ帯に合わせます。手が届く範囲でつながっていることが、途中で切れているより実際には使いやすくなります。

階段

前述の通り、踏面の先端から700〜900mmが指針の目安です。勾配が急な階段や、回り階段の曲がり角では、片側だけでなく両側に手すりを検討する場面もあります。

トイレ

便器の脇に縦手すり、立ち座りを支えるためにL字型を選ぶことが多い場所です。座った姿勢で肘が軽く曲がる高さ、便器よりやや前方に取り付けるのが基本の考え方になります。便器と壁の位置関係、扉の開く向きによって最終的な位置は変わるので、実際に座ってもらって決めます。

トイレは、下地の問題が一番出やすい場所でもあります。間仕切り壁が多く、便器の脇に柱や間柱が来ていないことがよくあります。手すりを付けたい高さと、下地がある高さがずれることも起こります。壁を開けて受け材を入れるとなると、床から立ち上がる給排水の位置も見ることになり、手すり1本のつもりが工事の範囲が広がります。

壁に付けられない場合は、便器を囲んで床に置くタイプの手すりも選択肢になります。工事を伴わず、便器やポータブルトイレを囲んで据え置くものは、介護保険では福祉用具貸与の「手すり」に当たります。一方、床や壁にネジで固定するものは貸与から外れるので、住宅改修の「手すりの取付け」として扱えるかを着工前に確認することになります(厚生労働省 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて)。据え置くタイプは床の面積を取るので、車椅子で入るトイレや狭いトイレでは通れなくなることがあります。どちらで進めるかは、ケアマネジャーと一緒に決めることになります。

扉も一緒に見ておく場所です。内開きの扉は、中で人が倒れたときに開けられなくなります。引き戸や外開きへの取り替えは、介護保険の住宅改修の対象工事に入っています。手すりを付けるついでに、扉の向きも見ておくと、あとでもう一度工事することを避けられます。

浴室(洗い場・浴槽のまたぎ)

洗い場の立ち座り用、浴槽をまたぐ動作用、浴槽内で体を支える用と、必要な手すりが複数になりやすい場所です。浴槽をまたぐ動作については、指針が段差の基準を示しています。浴室の出入口は20mm以下の単純な段差にするか、内外の高低差を120mm以下・またぎ高さを180mm以下にしたうえで手すりを設置する、という組み合わせです※1。またぎ高さが高い浴槽は、手すりだけでなく、浴槽の交換とあわせて検討することもあります。浴室は寒さも一緒に相談されることが多いところで、そちらはヒートショック対策|浴室と脱衣所の温度差に書いています。

下地が無い壁には留まらない

ここが、DIYと工事の分かれ目です。

石膏ボードだけの壁に、手すりを直接ビスで留めることはできません。メーカーの施工説明書も、強度のある壁や建築構造体に取り付けるよう求めていて、石膏ボードなどへの直接の取り付けを禁じています※2。体重を預ける道具である以上、留まる先が壁紙の下の石膏ボードだけでは意味がありません。

木造住宅の壁の中には、柱と柱の間に「間柱」と呼ぶ細い柱が並んでいます。手すりのビスがこの柱か間柱に当たれば、下地の補強なしで留められることがあります。ただし間柱は柱より薄いので、ビスの本数・長さ・取り付ける位置が製品の条件に収まるかは別に確認します。必要な下地の厚みは製品と固定方法で変わり、施工説明書に定められています。当たらない場合や条件を満たせない場合は、下地の補強が必要です。

介護保険の住宅改修費を使う予定があるなら、買う前に相談してください。この制度は工事を始める前の申請が前提で、自分で取り付けると支給の扱いが変わることがあります。順番を間違えると、付けたあとで対象外だと分かります。

下地の有無は、下地専用のセンサーで調べるか、壁を軽く叩いた音の違いで見当をつけます。ただし軽量鉄骨の下地や、金属を検知しないセンサーでは外すことがあります。新築時の図面が残っていれば、柱の位置からも見当がつきます。下地が無い場所に付けたい場合は、壁の中に受け材(補強のための板)を入れるか、板を増し張りします。この「手すりの取付けのための壁の下地補強」は、介護保険の住宅改修でも付帯工事として認められているものです。壁を一度開ける工事になるため、クロスの張り替えを伴うことが多く、手すり1本の工事より範囲が広がります。コンクリートの壁は木下地とは固定方法が別で、製品ごとに指定された方法によります。

※2 TOTO「施工説明書 手すり」

段差の解消も、無くすだけでは終わらない

段差解消には、いくつかの方法があります。低い段差は、すりつけ板(斜めの板を渡して段差をなだらかにする部材)で済むことが多いです。敷居や框を撤去してフラットにする方法もありますが、床材の厚みが部屋ごとに違うと、撤去しただけでは今度は数ミリの段差が新しく生まれます。低い側の床を底上げする、高い側を削るといった調整が別途必要になることがあります。

段差の大きい玄関や勝手口では、スロープを使います。ただし、スロープは水平方向に長さが要るので、玄関が狭い家では設置そのものが難しい場合があります。式台を挟んで2段階にする、上がり框の高さを一部だけ下げる、といった代替案を現地で相談することになります。

段差を無くすことが、必ずしも安全側にだけ働くとは限りません。玄関の上がり框を低くすると、大雨のときに玄関土間に水が回りやすくなることがあります。指針は玄関出入口の段差について、くつずり(玄関ドアの下枠)と玄関外側の高低差を20mm以下、くつずりと玄関土間の高低差を5mm以下としています※1。外側との差は20mmまで、内側の土間との差は5mmまでと、内と外で許容が違います。玄関まわりの段差は、出入りのしやすさと、雨水の入りにくさ(雨仕舞い)の両方を見て決めます。段差を消す工事は、その場所だけでなく、水の流れ方まで含めて考えます。

費用の考え方と使える制度

先に断っておくと、金額の相場は出しません。同じ「手すり1本」でも壁の中の状態で工事の範囲が変わり、レンジが目安になりにくいためです。代わりに、何で金額が動くかを書きます。

手すりの費用は、本体の代金、取り付け金物、固定の方法、下地の補強、そのあとのクロスの補修で決まります。下地に当たる場所へ1本付けるだけなら、比較的小さな工事で済みます。壁を開けて受け材を入れる場合は、範囲がクロスの張り替えまで広がります。トイレ・浴室の床材や便器の交換とあわせて行う場合は、その分積み上がります。段差解消も、すりつけ板だけの対応か、床の底上げや土間の造作まで踏み込むかで金額の幅が大きく変わります。実際の金額は、壁の中の状態や既存の建具・床材の種類を見てからでないと出せません。

要支援・要介護の認定を受けている方は、介護保険の住宅改修費を使えます。手すりの取付けと段差の解消は、どちらも対象工事です。支給限度基準額の20万円は対象になる工事費の上限で、保険から出るのは負担割合に応じた9割・8割・7割です。工事を始める前の申請が前提なので、着工前にケアマネジャーへ相談します。申請が動く順番と誰が何をするかは介護保険の住宅改修|申請の順番と進め方、対象工事の全区分は介護・バリアフリーリフォームにまとめています。

よくあるご質問

Q. 手すりは自分で取り付けてもいいですか?

木下地に当たる場所であれば、DIYで取り付けている方もいます。ただし、石膏ボードだけの壁への直接固定は避けてください。下地の有無を調べるところまでを業者に依頼し、位置決めと下穴の確認だけ手伝ってもらう、という頼み方もできます。

Q. 賃貸住宅でも介護保険の住宅改修は使えますか?

所有者の承諾が得られれば対象になります。手すりの工事で問題になりやすいのは、下地の補強を伴う場合です。壁を一度開けてクロスを張り替えることになるので、承諾は「手すりを付けてよいか」ではなく、どこまで壁を触るかまで含めて取ります。退去時に外すか残すかも、この段階で決めます。書類は介護保険の住宅改修|申請の順番と進め方にまとめています。

Q. 手すりは一度に全部つけないといけませんか?

介護保険の20万円の枠は、使い切るまでであれば複数回に分けて使えます。まず転倒が起きやすい場所から1〜2箇所を工事し、様子を見ながら追加していく進め方もできます。

まとめ

手すりは、位置と高さを使う人の動きに合わせること、下地のある場所に留めることの2つで決まります。石膏ボードだけの壁に直接付けても、体重を預けたときに外れます。段差の解消も、その場所だけを見るのではなく、隣の床との高さや水の流れまで含めて考える工事です。大成住宅は、技術者が現地で下地の位置と段差の状態を確認したうえで、手すりの配置と工事の範囲をご提案します。設計から現場管理まで一貫して対応するので、外壁や水回りの改修とあわせて相談したいときも窓口は一つです。手すり・段差のご相談は、お問い合わせからどうぞ。

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