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大成住宅
コラム

佐世保の空き家を放置すると何が起きるか

親が施設に入った、亡くなって家が空いた。そのまま何年か経っている。よくあるご相談です。誰も住んでいない家は、置いておくだけなら費用がかからないように見えます。実際には、税金の扱いが変わることがあり、建物は住んでいたときより早く傷み、近所に対する責任だけは残ります。何がどう進むのかを、佐世保市・佐々町で空き家を見ている立場から順に書きます。結論を先に書くと、慌てて壊す必要はありませんが、先に建物の状態を知らないと選びようがありません。

税金の扱いが変わることがあります

住宅が建っている土地には、固定資産税の住宅用地特例があります。地方税法にもとづく仕組みで、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分は課税標準が6分の1、それを超える部分は3分の1になります(対象になるのは家屋の床面積の10倍までです)。「更地にすると税金が上がるから壊さない」と言われるのは、この特例のことです。

ただし、空き家のまま放置していると、家が建っていてもこの特例が外れることがあります。

空家等対策の推進に関する特別措置法が改正され、令和5年12月13日に施行されました(国土交通省)。この改正で「管理不全空家等」という区分ができました。放置すればそのうち「特定空家等」になるおそれがある状態の空き家を指します。

流れは、まず市町村からの指導、それでも改善されないときに勧告、という順です。勧告に進むと、住宅用地特例の対象から外れます。倒壊の危険があるレベルまで進んでいなくても、その手前の段階で対象になり得るようになりました。

反映されるタイミングにも注意が要ります。固定資産税は毎年1月1日の状況で課税されるので、勧告を受けた時点でその日から税額が変わるわけではなく、賦課期日の時点で勧告を受けている敷地が特例から除かれる、という効き方をします。

ただし、改善したつもりでいれば戻る、というものではありません。市町村に状態を見てもらったうえで、勧告を解除するかどうかも市町村が判断します。勧告を受けてから動くのではなく、その前の指導の段階で手を打ってください。

都市計画税も見ておいてください。佐世保市では、市街化区域内の土地・家屋に都市計画税がかかり、税率は0.3%です。住宅用地の特例は固定資産税と割合が違い、200平方メートル以下の部分は課税標準が3分の1、それを超える部分は3分の2になります(出典:佐世保市「税額算定の流れ」住宅用地に対する課税標準の特例)。

一方、佐々町は都市計画税を課税していません(出典:佐々町「固定資産税について」。固定資産税の税率は1.4%)。同じ県北でも、土地の税負担の見え方が違います。

誰も住んでいない家は、住んでいた家より早く傷みます

空き家の傷み方が早いのは、使われないからです。

通風が止まります。窓が閉めきられたままだと湿気がこもり、畳や壁の裏でカビが出ます。木部が湿ったままなら腐朽が進みます。

排水管の封水が切れます。トラップに溜まっている水が蒸発すると、臭気や害虫が室内に入ってきます。給湯器や配管も、長く使わないと動かなくなることがあります。

気づくのが遅れます。住んでいれば、雨漏りは天井のシミですぐ分かります。誰もいない家では、屋根から入った水が野地板を腐らせ、下地まで傷んでから見つかります。屋根の補修で済んだはずのものが、葺き替えの話になります。床下のシロアリも同じで、異変に気づく人がいません。

手入れの頻度は、多いほど傷みは遅くなります。台風のあとと草木が伸びる時期は特に見ておきたいところで、年に1〜2回では足りないこともあります。遠方にお住まいで通えない場合は、その分だけ傷みが早いと考えておいてください。

この地域ならではの事情もあります。佐世保市は海に面していて、海沿いの家は経験上、金属部分の錆びが早く出ます。屋根の棟板金、雨樋の金具、手すり。空き家だと、錆びて外れかけていても誰も気づきません。公共下水道の区域外では浄化槽を使っているので、長く止めていた浄化槽がそのまま再開できるとは限りません。売るときにも使える状態かどうかが確認事項になります。温暖な土地なので、草木は放っておくと1年で敷地の様子が変わります。

近所に対する責任は、住んでいなくても残ります

民法717条は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があって他人に損害が生じたときの責任を定めています。まず占有者が責任を負い、占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が負います。所有者の責任は、過失がなくても免れないものとされています。同条2項で、竹木の栽植または支持に瑕疵がある場合にも準用されるので、庭木の倒木や落枝で損害が出たときも同じ枠に入ります。枝葉が隣地にはみ出しているだけなら別の整理になりますが、放っておけば結局どちらも近所の話になります。

実際に起きるのはこういうことです。

  • 瓦や外壁材、アンテナが飛んで隣家の車や屋根を傷めた
  • 塀や擁壁が崩れて通行を妨げた
  • 草木が伸びて隣地や道路にはみ出した
  • 敷地にごみを捨てられた、動物が住み着いた

佐世保市は坂が多く、擁壁や石積みの上下に家が建っていることが珍しくありません。建物本体より先に擁壁のほうが問題になることがあります。草木は、実際に一番よくご相談をいただくところです。年に何回か業者に頼めば費用がかかりますし、放っておけば近所との関係に響きます。

選択肢は4つ。先に状態を確認します

実家や空き家の行き先は、住む・貸す・売る・壊すの4つです。どれを選ぶにしても、先に建物の状態を知ることから始めます。

状態が分からないまま「とりあえず壊す」と決めると、まだ十分使える家を壊してしまうことがあります。逆に「直して貸す」と決めてから調べたら、構造まで傷んでいて改修費が家賃で回収できない、ということも起こります。

判断の材料になるのは主にこの4つです。

  • 構造と基礎が傷んでいないか。ここが無事なら、直して使う道が残ります
  • 雨漏りの有無。屋根から入った水がどこまで進んでいるか
  • 給排水と浄化槽が生きているか
  • 土地の条件。接道、擁壁、再建築ができる土地かどうか

売るときは、建物を残して売るのか、解体して更地にして売るのかで手取りが変わります。ここで気をつけたいのが、年内に解体して翌年1月1日に更地だと、住宅用地特例が外れることです。売れるまでの保有期間の税負担も勘定に入れてください。買取と仲介のどちらが手取りで多いかは、空き家を売りたい人の買取と仲介の選び方で比べ方を書いています。

更地にすれば必ず得、というものでもありません。売却の見込み時期、解体費、そして買主が建物付きと更地のどちらを望むか。この3つを並べて決めます。

相続した空き家を売る場合、譲渡所得の特別控除が使えることがあります。国税庁が公式に示している要件(建てられた時期、相続からの経過年数、売却の期限など)を満たすことが条件です(国税庁 No.3306)。要点は相続した空き家の3000万円控除にまとめました。解体の補助制度は年度と予算で受付の状況が変わります(今年度分の受付が既に終わっている制度もあります)。空き家解体ガイドで現在の状況をご確認ください。

よくあるご質問

Q. 相続の登記が済んでいませんが、大丈夫ですか?

相続登記は令和6年4月1日から義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。施行日より前に相続したことを知っていて登記がされていないものは、令和9年3月31日までが期限です。正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料が科される可能性があります(出典:法務省「相続登記の申請義務化」)。あわせて、遺産分割で不動産を取得した場合は、遺産分割の日から3年以内に、その内容に応じた登記が別途必要です。建物の状態を見て選択肢を整理するところまでは登記の前でも進められますが、期限があることは知っておいてください。

Q. 何年くらい放置すると問題になりますか?

年数では決まりません。屋根や外壁が傷んでいれば1〜2年でも進みますし、手入れが行き届いていた家なら数年空いていても状態を保っています。年数ではなく、雨が入っていないかどうかで見てください。

Q. 火災保険はそのままで大丈夫ですか?

空き家になると、住宅物件としての契約を続けられない場合があります。一般物件の扱いになる、引受けができない、といったことが起こり得るので、保険会社に空き家であることを伝えて確認してください。

まとめ

空き家を放置して起きることは3つです。管理不全空家等として勧告されれば固定資産税の住宅用地特例が外れ、建物は住んでいたときより早く傷み、近隣に対する管理責任は所有者に残ります。

置いておくことは、費用がかからない選択ではありません。ただ、慌てて壊す必要もありません。先に状態を知って、住む・貸す・売る・壊すを金額で並べる。そこからで間に合います。

大成住宅は建築士と宅地建物取引士に加え、既存住宅状況調査技術者と、民間資格である遺品整理士が在籍しています。建物の確認、売買の相談、片付け、解体や改修の進め方を、窓口を分けずに整理できます。登記、相続税や譲渡所得税、保険の切り替えなど専門の確認が要るものは、必要に応じて司法書士・税理士・保険会社と連携します。県外にお住まいで現地に来られない場合も、状況をお送りいただければご相談を進められます。

佐世保市・佐々町の実家や空き家でお困りでしたら、実家・空き家・相続不動産の相談からご連絡ください。

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